札幌地方裁判所 昭和48年(わ)329号 判決 1973年8月31日
本店所在地
札幌市白石区東札幌二条四丁目三九番地
親栄電気工事株式会社
(代表取締役 田中行雄)
本籍
十勝郡浦幌町字直別西一緑四一番地
住居
札幌市白石区東札幌二条四丁目三九番地
会社役員
田中行雄
昭和八年五月一一日生
右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官宮崎徹郎、福山齎出席のうえ審理を遂け、次のとおり判決する。
主文
被告人親栄電気工事株式会社を罰金二五〇万円に、被告人田中行雄を懲役四月にそれぞれ処する。
被告人田中行雄に対し、この判決確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人親栄電気工事株式会社(昭和三八年六月一七日以降親栄通信建設株式会社であったが、昭和四八年三月一日に現商号に変更した)(以下「被告会社」という)は、北海道札幌市白石区東札幌一一条四丁目三九番地に本店を置き、電気、通信、信号保安工事の設計施工などを営む資本金一、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人田中行雄は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人田中行雄は被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、被告会社の経理担当者である布施敏男らと共謀のうえ、工事収入の一部を除外するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ、
第一 昭和四四年四月一日から昭和四五年三月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が一三、〇五六、七三二円であり、これに対する法人税額が四、三四四、五〇〇円であるにもかかわらず、昭和四五年五月二九日札幌市中央区大通西一〇丁目所在の所轄札幌東税務署(昭和四七年七月一日付大蔵省令第五八号により税務署名が札幌南税務署と変更された)において、同税務署長に対し、所得金額は、一、三九七、八四〇円であり、これに対する法人税額は三七六、一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって被告会社の右事業年度の正規の法人税額とその申告額との差額三、九六八、四〇〇円を免れ、
第二 昭和四五年四月一日から昭和四六年三月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が一七、六五八、八四〇円であり、これに対する法人税額が六、一八四、〇〇〇円であるにもかかわらず、昭和四六年五月三一日前記所轄札幌東税務署において同税務署長に対し、所得金額は二、六三六、二五二円であり、これに対する法人税額が六、一八四、〇〇〇円であるにもかかわらず昭和四六年五月三一日前記所轄札幌東税務署において同税務署長に対し、所得金額は二、六三六、二五二円であり、これに対する法人税額は七二五、一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって被告会社の右事業年度の正規の法人税額とその申告税額との差額五、四五八、九〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
一 被告人田中行雄の当公判廷における供述
一 被告人田中行雄の検察官に対する供述調書
一 被告人田中行雄の収税官吏に対する質問てん末書一二通
一 志賀浦志津江、小林憲明、布施敏男の検察官に対する各供述調書
一 下島知秋、板倉登、林正三、牧野孝之助、合坂末市、田中春雄、志賀浦志津江、田中アキヨ(二通)、寿崎良雄(二通)、柴田洋子、吉田降介、小林憲明(八通)、布施敏男(六通)の収税官吏に対する各質問てん末書
一 大蔵事務官作成の調査事績報告書二六通
一 被告人田中行雄等作成の上申書三通
一 布施敏男および小林憲明作成の上申書
一 杉原敏夫、合坂末市、三上勇治、梅内薫、中川嘉朗、佐々木満、渡辺良信、荒木研仁、荒太義男、本間幹夫、山本繁、中島雄作成の各答申書
一 被告人田中行雄および布施敏男作成の答申書
一 北村偕、遠藤昭一、大橋隆、若松伸太郎、金子実、天野恒雄作成の各証明書
一 吉田利勝作成の「税務署名の変更について」と題する書面
一 登記官布施吉栄作成の登記簿謄本九通
一 検察事務官作成の電話聴取書
一 収税官吏藤原昭三作成の脱税額計算書
一 押収してある法人税決議書一綴(昭和四八年押第一三三号の一)同銀行勘定帳一冊(同号の二)、同仕訳日記帳六綴(同号の三、四、一〇、一一、一三、一六)、同総勘定元帳三綴(同号の五、九、一九)、同現金出納帳・補助口座帳一綴(同号の六)、同出納帳・口座帳二綴(同号の七、一七)、同預金出納帳一冊(同号の八)、同金銭出納帳一冊(同号の一二)、同外注費計算書一綴(同号の一四)、同名古屋現場精算書一綴(同号の一五)、同工事出来高請求書一綴(同号の一八)、同精算書四綴(同号の二〇ないし二三)、同借用証二通(同号の二四)、同請求書一通(同号の二五)、同給料計算書二通(同号の二六)、同当座勘定入会票一枚(同号の二七)、同書類二綴(同号の二八、二九)、同元帳一綴(同号の三〇)
(法令の適用)
一 被告人田中行雄の判示第一、 法人税法一五九条一項、七四条一項二号、刑法六〇条
第二の各所為 (懲役刑選択)
被告会社の判示第一、第二 右法条のほか法人税法一六四条一項
の各所為
一 併合罪加重
(被告人田中) 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条
(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)
(被告会社) 同法四五条前段、四八条二項
一 刑の執行猶予(被告人田中) 同法二五条一項
(裁判官 中西武夫)
右は謄本である。
昭和四八年九月一四日
札幌地方裁判所
裁判所書記官 鈴木勉